落語を聞いて何でも覚えた。小言辛兵衛が借家を申込むときの口の利き方を教える。借金の断り方も、極道息子は逆説的に親孝行を教える。忠臣蔵や義経千本桜のパロディを先に覚えてしまう。本物の歌舞伎を見たのはずっと後のことだ。祖母と近所の芝居小屋で、清水の次郎長を見たりもした。自然に、老人から若者まで、カルチャーの伝承ができた。今は、世代間のコミニュケーションがない。

時代とともにその解釈が変わるという考察は、なるほど面白い。
私は、NHKの“残したいふるさとの言葉”というのをよく聞いている。方言と地形の繋がりなどなかなか面白いものだ。また、最近、言葉のニュアンスが通じなくなっており、私は腹を立て喧嘩をしてしまうことがある。「丸いお餅も切り様で四角、物も言い様で角が立つ」などと言うことは、学校では教えないだろう。

昔の映像がNHKで放送される。集団就職で都会に来た来た若い女性だ。びっくりするほど美しい敬語を使う。発声が違う。声イントネーションが違う。時代とともに声の質がこんなに変わるものなのか。