千葉県での広域停電は長期にわたり,大変な日々をお過ごしの方にお見舞い申します.
台風15号が東京湾を通過し千葉に上陸したのは9月9日未明のことでした.すでに2週間が経過しましたが,東京電力パワーグリッドによると22日夜も,千葉県内では約2300戸が停電しているという.その上,家屋の全壊,半壊の被害も甚大で,自治体によるその実態把握も遅れているといいます.政府の災害対策会議の開催も遅く10日午後2時半.官邸の関係閣僚会議はまだ召集されていないが,内閣改造は11日に予定通り行われたのです.政府の対応の甘さが被害を拡大させているわけですが,それはともあれ,ここでは送電網事故の側面だけ取り上げましょう.
送電網システムは,ケーブルネットワーク(ハードウエア)に,制御ソフトウエアや行為者も含み完全に定義しきれない複雑系です.スマート・グリッドになったとはいえ完全に制御しきれない要因が何処かにあるでしょう.台風により木立が揺れ,どこかで送電ケーブルが切れたとし,その場所が運悪く重要な結節点に属するなら,電力負荷が残りの送電線にかかり,あっという間に雪崩をうって広域なネットワークの事故に広がって行くことは良く知られています.引き金となる些細な事故はどこで起こるか予測できません.送電網に頼らない社会にするべきです.再生可能な自然エネルギーは地域で作りその地域で消費する(地域分散型)に適しています.そのような利点のあるソーラー発電なのに,わざわざメガソーラーを作り,また送電網で電気を運ぶのはナンセンスといわざるを得ません.勿論,原発は最悪の複雑系です.